「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
そんなとき、御崎と出会った。
正しく言えば、席が隣になった。

寝る前に今日話したことを思い出して、明日が来るのを待ち焦がれた。
そして朝になり玄関を飛び出しながら今日はどんな会話をしようかと会う前からそんなことを考えていた。


あなたがいないこんな世界、わたしが生きている意味はないわ。


ぶらりぶらりと適当に足を進ませる。

だからといって死にたいわけじゃない。
自殺なんて弱いわたしにできるはずがない。

ただ、元の生活に戻るんだ。
御崎がいないあの味気ない生活に、戻ってしまうんだ。


やっぱり過去に戻りたい。
人生がテープのようなものだとしたら、巻き戻してもう一度録音し直したい。


ぼんやりとそんなことを考える。
決して現実にありえることじゃないと知りながらも。

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