「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日

...4

ふと疑問に思ったこと。
思わず口に出し、おばさんに尋ねる。


「わたしの名前、知っているんですか」
「ああ、あのね……死ぬ直前、雄一がそう言ってたのよ。だからそうかなって」


死ぬ直前に?
御崎がわたしの名前を?

どういうことですか、ともう一度おばさんに尋ねた。


「急いで家に帰ってきたと思ったら、美里が美里がーって叫んで、部屋に飛び込んでったわ。それがわたしの見た、雄一の最期よ」
「御崎が、わたしの名前を……?」


そういえば、御崎が消滅する前に何かを言っていた。
一生懸命記憶の糸を手繰って、思い出そうとする。



『俺の部屋の机の――』



そう。
一番最後、御崎が呟いた言葉。
途切れ途切れで聞こえなかったけれど、確かそんなことを言っていた。


「あの、ちょっといいですか」


わたしはおばさんにそう言うと、御崎の家へと入っていった。
御崎の部屋なんて知らなかったけれど、前に寝ぼけて階段から落ちたと聞いたことがあるので、二階だろうと推測した。
階段をあがると、すぐに雄一の名前のプレートがかかった部屋があった。
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