「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
『えー、あー、……ちゃんと写ってんのかな、これ。まあとりあえずこんにちは、御崎です、御崎雄一。突然のことで焦りながらやってるんだけど、俺の言いたいことが伝わればいい……です』


再生される動画。
画面の中には、照れながら、恥ずかしそうに片言の日本語を話す御崎の姿。
たちまち愛しさが込み上げてくる。


『とりあえず、美里。俺を救おうとしてくれてありがと。最初は何かと思ったよ。だけど理由聞いてすぐに美里のしたいことが分かった。……あんなに必死になって、俺のこと救おうとしてくれてたんだよな。それ知ったとき、すげえ嬉しかった。嬉しかったよ。だけど、やっぱり、それは違うと思うんだ。そりゃあ俺は死にたくないって思ったけどさ、俺のために美里が死ぬ必要は全くもってないじゃん』


照れたり、真面目な顔になったり、ふざけたように笑ったり。
動画の中の御崎の表情は、おもしろいくらいにくるくると変わる。


『それにな、俺が今日死ぬってことはもう決められていたことで、覆せないと思うんだ』


真面目な顔。
その直後、悲しそうな笑み。
それは、消える間際に見せた表情と酷似にしていて。
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