「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日
そんなことってない。
ひどすぎる。
体の力が抜ける。
手からするりと携帯が抜ける。
脱ぎ散らかった衣類の上に、ぺたりと座り込む。
『まあ変なおっさんのおかげで助かったんだけどな』
変なおっさん?
変なおっさんとは、わたしを過去に戻してくれたあの男の人のことだろうか。
その言葉に反応し、わたしは自分の横に落ちている携帯のほうを向く。
わたしが落としてしまった携帯電話は、変な方向を向いて、御崎の声を流す。
『それで、そのおっさんが言ったんだよ。お前がしようとしたこと。それから、わたしならあなたを救えますって。だから、俺、美里を元の世界に戻してって言ったんだ。そうすれば全部元通りになるだろ? お前が無駄死にする必要はない』
ゆっくりと、携帯の方へ手を伸ばす。
画面に映し出された御崎は、いつもみたいに微笑んでいて。