俺の彼女が可愛すぎて困る。
『あれ?俺間違ったかな……俺のことわかる?』
「一ノ瀬 夏くんなんて知りません。わかりません」
『ぷっ』
そう言うと、夏くんは電話の先で笑っていた。
「な、なんで笑うの!」
『だってハル、自分の名前は言っちゃうし、俺名前言ってないのに言っちゃうし……本当かわいいね、ハル』
「ばっ……!」
私はどこで間違えたんだろう。
こんなにあっけなく間違い電話作戦が失敗に終わってしまうなんて。
『それに声変えてたみたいだけど、いつも通りのかわいいハルちゃんの声だったよ?』
「……っ」
そうやって、また。
電話越しの夏くんの声は、直接耳に届いてきて、まるで耳元で囁かれているかのよう。
だからなのかな、いつもよりドキドキしてる。
ただ、電話だから顔が見えないのが唯一の救い。