俺の彼女が可愛すぎて困る。
「すきだよ、ばかっ」
口パクでそう返したけれど、夏くんからはメッセージでハテナが返ってきた。
教室越しで遠いから読み取れなかったのかもしれない。
でも恥ずかしいからそれでいい。
"なんでもないから!"
そうメッセージを返してスマホを閉じた。
はぁ、熱い。
「なんだ、どうした美風」
「へ……?な、なんでもありませんっ」
早く熱を冷まそうと手で顔を煽っているところを先生に見られてしまっていたらしく、つっこまれてしまった。
あぁ、恥ずかしい……。
もう全部夏くんのせいなんだから。
また、ため息をついて頬を手で押さえる。
そんな私の行動の一部始終を教室越しに見ていた夏くんが"可愛すぎるだろ……"と口元を隠していたことを私は知らない。