俺の彼女が可愛すぎて困る。
『ハルが大丈夫そうならよかった』
自分だって少なからず雨に当たってしまったはずなのに私のことばかり心配してくれる夏くん。
ちょうど今さっき駅に着いたところで、すぐに連絡してくれたらしい。
ほら、また夏くんの好きなところが増えちゃうじゃん。
「ありがと、夏くん……あ、そろそろ電車来た?」
お礼を伝えたその後ろで、アナウンスと微かに電車の向かってくる音がした。
そろそろ切らなきゃと思って、バイバイを伝えようとした時。
『ねぇ、ハル』
「なに?」
『このまま電話繋いでおいていい?』
「え?」
『電車だから俺話せないけど。今日あんまりハルと話せてないから、もっと声聞きたい』
またそんな恥ずかしいセリフをサラリと……
電話越しでよかった。
今の顔は、夏くんには見られたくない。