俺の彼女が可愛すぎて困る。



"キス"



その消えないふたつの文字を思い浮かべるたび、唇をぐっと噛んでしまう。



考えないなんて、無理だよ。



電話越しに囁かれた甘いセリフは、どうしたって消えてくれない。



「もしかして、キスしてくれるの待ってる?」



「……なっ、待ってないっ!!」



……!?



なんでバレちゃうの?



今度ばかりは声にも出していなかったはずなのに。



「顔真っ赤にしちゃって、可愛いねハル」



「そんなことないもん、ばか」



「まぁ、しちゃうけどね?可愛すぎるハルが悪い」



「……んっ」



夏くんのばかぁ……



そう思いつつ、幸せに感じてしまう私。



「ねぇ、ハル熱くない?」



「え?熱い……?」



私には何のことかさっぱりで、ただ首を傾げる。



< 191 / 300 >

この作品をシェア

pagetop