俺の彼女が可愛すぎて困る。



「はい、口開けて?」



「……?」



おかしい。



何かおかしい。



なんでお粥をすくったスプーンを夏くんが持ってるの?



「いや、自分で食べれるよ?」



「いいから病人は黙って食べて」



「だから大丈……むっ」



喋って口を開いた瞬間に、お粥を口の中に入れられてしまう。



やられた……



でも、優しい味のお母さんのお粥はとても美味しかった。



問題はその後だ。



「はい、これ薬」



結局全て夏くんに食べさせてもらってしまったお粥。



その後に差し出されたのは風邪薬。



きっとお母さんが用意したもの。



「うん、ありがと」



薬と水を受け取ったは言いけれど、なかなかそこから動けない。



私は薬が嫌いなんだ。



お母さんも私があまりにも薬を飲まないから何度も苦労したとかなんとか言っていたっけ……



思い返せば、嫌すぎて飲んだふりをして飲まなかったこともあるくらい。



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