俺の彼女が可愛すぎて困る。
「どこにも、行かないでっ?」
そんな目で、見つめんなよ。
「いなくなっちゃヤダよ、夏くん……」
そんな声で、俺の名前を呼ぶな。
「ねぇ、ぎゅーってして?」
そんなこと言われたら……
俺が我慢できるわけないじゃん。
ゆっくりと手を広げて待つハルを迷わず抱きしめる。
熱があるのをいいことに……
そんなに俺を煽んないで。
「夏くん、キス……したいっ」
「……っ、ハルのバカ」
本当にこのバカハルは……
俺が余裕をなくしていることも知らないで。
「どうなっても、知らないからね」
ハルの白い手を握り、まだ熱のこもる唇にそっと自分の唇を重ねる。
部屋の中に、目覚まし時計の針の音と俺の心臓の波打つ音だけがはっきりと聞こえる。
「……まじかよ」
唇を離した後、聞こえてきたのはハルの寝息。
あんなことしておいて寝るとか……
はぁ、とため息をついて布団の上に顔を埋める。
オマケに左手はギュッと掴まれて離してはくれない。
1人取り残されたまま、俺も眠ってしまっていたらしい。