俺の彼女が可愛すぎて困る。



「……?」



ずっと私に迫っていた夏くんが後ろを向いて砂浜に何かを書き始めた。



頭にハテナを浮かべながら、覗き込もうとすると、まだダメと怒られてしまった。



シュンとしながらも後ろで待っていると、もういいよと夏くんが振り返って微笑んだ。



何かと見てみると……



「……ばかっ、夏くんのばか」



そこに書かれていたのは……



"俺もハルがだいすき"



の文字。



ばかばか。



だいすきだよ。



「だいすきだよ、夏くんっ」



「へへ、やっと言ってくれた」



夕日なんかとっくに沈んでしまってもう真っ暗で、夏くんの顔は月明かりでやっと見えるくらい。



それでも少し照れながら嬉しそうに笑う夏くんにキュンとする。



「ハル、愛してるよ」



「……んっ」



満点の星空の下。



私たちの少し遅めの初デートは、きっと忘れられない。



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