俺の彼女が可愛すぎて困る。



回想に入り浸ってしばらくして、そういえば今は仕事中だったと現実に戻る。



横を見れば、同じく図書室のカウンターに座るハルがいる。



現実に戻っても隣にいるなんて、幸せ者だよな、俺。



「ねぇ、ハル」



声が聞きたくなって、名前を呼んでいるけれど、ハルは何か考え込んでいるらしく、こっちを見向きもしない。



「ハールーちゃん?」



「……へっ!?…って近いよ!」



俺が顔を覗き込んでハルの名前を呼べば、やっと気づいたらしく、みるみるうちに赤く染まっていく頬。



「ずっとぼーっとしてるから。なんか考え事?」



「そんな、何でもないよ」



「夏休みになったら、俺に会えなくなるから寂しい……とか?」



そう自分で言いつつ、本当に夏休みに入って会えなくなるのが寂しいと思っているのは俺だ。



女々しすぎかよ……



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