さいごだから
さよなら
ピピピ ピピピ
聞き慣れた目覚ましで目を覚ます。
1人のベッドにやっと慣れてきた。
なんの夢をみていたかは思い出せない。
でも、泣いていた。
思い出せない夢に涙が出るのは何度目だろう。
だけどきっと、あの人の夢。
夢にまで出てきて泣かせるなんてやっぱり君はひどい男ね。
そう思いませんか
「なんてねー、ふふ」
誰もいないのに問いかけている自分が可笑しくて笑ってしまった。ふう と一息ついて、体を起こした。
「準備するかあ」
今日は約束の日
あの人に会う最後の日
目一杯おしゃれをして
あなたの見たことのない服を着て
前とは違うお化粧をして会いに行く
後悔はしてくれないだろうね
ただ、
前より綺麗になった?
そんな服もってた?
雰囲気変わった?
ただ、
あなたの記憶に残ればいい
それだけでいい
そんな思いで私は身支度をした。