放課後○○倶楽部
 ……。
 ……。

「暇だね……律子ちゃん」
「そうですね――って、違いますよ! 先輩も一緒に出る方法を考えくださいよっ」

 眉を吊り上げて俺を睨む律子ちゃん。

 最近、言動が徐々にだが和音さんに似てきたな。これはあまりいい兆候ではないぞ……早急に対策を講じなければ第二の魔王、いや第二の和音さんになってしまうだろう。

「焦っても何も解決しないって」
「でも、随分時間が経ったと思うのですけど、誰も現れる気配もありませんね」
「そうだね……ちょっとおかしいな」

 律子ちゃんが俺の言葉に心配そうに耳を傾けている。

「俺達はこの部屋に軟禁、あるいは監禁されているわけだ。だが、身体は拘束されているわけではないので、逃げようと思えば簡単に逃げられる。しかし、そんな状況でも俺達をここに閉じ込めた人物は現れる気配がないのはどうしてだろうか?」
「そ、それは……忙しいからとか?」
「違う……俺達が逃げられないと確信しているからだろうな」

 その言葉は律子ちゃんに衝撃を与えようで、目に溜まっていた涙を一気に溢れさせる結果となった。

 俺の言った事は間違いではないと思う根拠は、この部屋には出入り口と呼べるのは扉が一つだけ。窓は一切なく、部屋の中は空調が効いているのか寒いくらいに涼しかった。

「まあ、焦らず行くしかないよ……ねっ、律子ちゃん」

 律子ちゃんの頭を撫でて背中を擦ってあげると、俺の身体に腕を廻してきた。


 ……遊び過ぎたかな。


 少し面白半分で遊び過ぎたようだな。ここまで恐がらせるつもりはなかったが、さすがにやり過ぎたようだ。

 しかし、この部屋を脱出するためにどうすればいいか見渡してみたが、とりわけ目に付くものはなく困り果てていた。
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