俺様外科医に求婚されました
「顔はイケメン過ぎるし、背丈も長い脚も。とにかくモデルみたいにスタイルも良かったでしょ?あ、それから輪島部長に聞いたんだけど、おまけにあの大和国際病院の跡取りで、凄い脳外科医らしいの。そんな人が最後に現れたのに、すぐに帰ちゃったなんて。本当…残念無念としか言いようがないわ」
「……そうですね」
「そうですねじゃないでしょ、あ〜勿体無いことした」
倉田さんはそう言うと、本当に残念そうな表情を浮かべながら気怠そうに息を吐く。
それを見ていた私の口からも、何故かふぅ、と重いため息がこぼれた。
「あのクラスの男にはなかなか出会え」
「あ!えーっと、次は…」
倉田さんがまた何かを言いかけたので、私はその声に被せるようにブツブツ独り言を言いながら次の業務をサッと確認する。
「805の村越さんと山下さんと〜」
そして話が長引くのを避けるように、すぐにその場から離れた。
Sクラス…ね。
つまりはAよりも上の、一番ハイクラスってことか。
トボトボ歩きながら、私はそんなことを考える。
相変わらず、どこに行っても。
諒太はやはり、そんな風に思われる人なんだと思った。