俺様外科医に求婚されました



すぐに車まではたどり着いた。
だけど、はいそうですかと呑気にこの車に乗りこむわけにはいかない。

じっと運転席を見つめていると、諒太はしびれを切らしたように車から降りてきた。


「寒いしとりあえず、乗って」

「どうしてですか?理由を教えて下さい」

「理由?事情聴取」

「なんのですか?意味がわからない」

「意味がわからないは俺のセリフ」


諒太はそう言うと私の肩に手を回し、強引に助手席のドアまで歩かせるとそのドアを開いて私を車に押し込んだ。

冷えきった車内と冷たい革のシートに、思わず身震いがした。

運転席のドアが開き、バタンとドアが閉まる。

すると何故か、車内はシーンとした空気に包まれた。


「さ、寒いよな、ごめん。すぐ暖まるから」


諒太は慌てた様子でそう言った。
そして静かに、車を発進させた。


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