俺様外科医に求婚されました
「あの、ご自分の立場を理解してないんですか?」
「ん?立場って?」
キョトンとした顔でそう聞き返され、思わずため息がこぼれた。
「だから立場です、立場。お父様は院長で、お母様は理事長。その息子であるあなたは、大和国際病院の跡取りですよね?そんな人が結婚を前提にだなんて、そんな簡単に口にするような言葉じゃないと思います」
「何でだ。そう言った方が誠実じゃないか。それくらい真剣に付き合いたいって思ってるから言ってるんだ」
「や、私は看護助手ですよ?医師でもない、看護師でもない、医療従事者でもないただの看…」
「それの何に問題があるんだ」
力強い大きな声に、思わず息を飲んだ。
「もしかして、俺の立場を考えたら釣り合わないとか。そんなこと考えてんの?」
…そりゃあ、考えるでしょ。
不釣り合い過ぎて、話にもならない。
付き合ってくれ、ならまだしも。
結婚を前提にだなんて…
院長や理事長が知ったら、なんと言われるか。クビにだってなりかねない。