俺様外科医に求婚されました
普通の男なら、恥ずかしがって口にしないような言葉でも。
この人はいつだってサラッとストレートに言ってのけてしまう。
こっちが恥ずかしくなるのをわかっていないのだろうか。
でも、そんな真っ直ぐな言葉をくれる彼に、私はいつからか惹かれ、恋に落ちていた。
だけど今は、あの頃とは違うーーー。
別々の道を選んだあの日から、私はこの人とは違う道を歩いてきた。
決して交わらないように。
避けて、隠れて。もう二度と顔を見なくていいように、歩いてきたんだ。
「住所言うので、ナビに入れてもらっていいですか?」
「え?」
「送ってくれるんですよね?場所伝えないと、帰れないので」
淡々とそう言うと、諒太はスピードを落として路肩に車を止めた。