俺様外科医に求婚されました
「私今日遅出だからさー、もっと色々話聞きたいのは山々なんだけど。また改めてゆっくり聞かせてもらうね」
にこりと微笑んだ小野さんは私の肩にそっと触れると、そう言って再び仕事に戻っていった。
そして私も勤務時間を終えると、交際宣言だなんて話を聞いてしまったこともあり、周囲の目を気にするのも面倒だったからさっさと着替えを済ませて病院をあとにした。
「望月さん」
だけど、病院を出てすぐに後ろから聞こえたその声で、私の足は止まった。
振り返るとそこには相沢先生がいた。
「お疲れ様、今帰り?」
爽やかな笑顔でそう言うと、相沢先生はこちらに向かって歩いてきた。
「はい、早番だったので。お疲れ様です」
私は軽く頭を下げ、ひとまず挨拶した。
すると相沢先生はジッと私を見たかと思ったら。
「なんか今日元気なかったよね」
何故かそんなことを言われた。
「えっ?そう…ですか?」
「うん。仕事中も何度か見かけたけど、ずっと心ここに在らずって感じだった」
「…そうですかね」
「ちょっと話せる?ちょうどそこにベンチもあることだし」
相沢先生はそう言うと、病院の敷地内にあるベンチを指差して先にベンチに向かって歩いていく。
私もその後をついていき、座った相沢先生の隣に少し距離を空けて腰を下ろした。