俺様外科医に求婚されました
「おそらく聞いてないと思います。なので少しでも漏らした以上はきちんと話してください」
「…参ったな」
相沢先生は頭をかきながらバツが悪そうに苦笑いを浮かべる。
だけどその顔を黙ってジッと見ていると、観念したようにその口が開いた。
「実はあいつ、無理矢理婚約させられそうになっててさ」
「えっ…婚約…?」
聞いてない。知らない。何それ?
そんなの初耳だ。
「相手は理事長の古い友人で、日生大学病院の教授がいるんだけど、その教授の娘さんらしくて。初めて顔を合わせたのは半年くらい前だって言ってたかな」
「そうなんですか…」
「や、でも大和は全く乗り気じゃないよ。理事長が全部勝手に進めようとしてるって嘆いてたし。それに、望月さんが病院で働きだしてからは、あいつがキミに熱を上げてるのも知ってたから」
「はい…」
「とにかく婚約を阻止するには、きちんと交際相手がいないと断れないって。早く望月さんと正式に付き合わないとって、焦ってたんだ」
開いた口が塞がらない。
そんな話、全く聞いてないんですけど!