俺様外科医に求婚されました
「っていうか、ここの観覧車ってこんなに大きかったんですね」
歩きながら、近くに見える大観覧車を見上げた。
以前からこの場所に観覧車があることは知っていたけれど。そばで見るとその大きさに改めて驚かされた。
結構な高さだ。
「昔は高さ日本一だったらしいぞ」
「そうなんだ⁉︎」
「たしかこれ、ディズニーランドからも見えるんだよな?」
「そう!見える見える!」
そう言った直後、ハッと我に返った。
自然と普通に話してしまってるけど、敬語…使わなくていいのかな。
って、付き合ってるんだからいいのか?
あー、でも敬語をやめると仕事中にぽろっと出ちゃうといけないし…どうするべき?なんて考えていたけれど。
「とりあえず観覧車はまた後でな。向こう行こう」
諒太は私の肩を抱くと、そう言って歩き出していく。
そして数歩歩いたところで、肩に回されていたその手は自然と私の手に重なってきた。
ごく自然に繋がれた手。諒太は何でもないように普通に歩いているけれど、私はドキドキしてたまらなかった。
青空の下、誰かと手を繋いで歩くなんて久しぶりのことで、照れくさくもなってくる。
でも、私の歩幅に合わせるようにゆっくり歩いてくれる諒太を横目で見ると、なんだか幸せな気持ちにもなった。
頭上の青空を見上げながらしばらく歩くと、緑の芝生が広がり、目の前には海が見えてきた。
「景色も良いし清々しいですね」
「あぁ、平日で人も多くないのがまたいい。理香子、あそこのベンチに座ろうか」
諒太はそう言うと前方に見えるベンチを指差して進んでいく。
そしてそこまでたどり着くと、繋いでいた手がそっと離れ、私達はそのベンチに腰掛けた。