俺様外科医に求婚されました
優しそうに目を細める院長は、綺麗だけどどこか近寄りがたさを感じてしまう理事長とは違い、温厚な雰囲気を醸し出す優しそうな人だった。
二人とは病院内で会ったことはなく、院内報や病院のパンフレットなどで顔だけは知っていたけれど、直接お会いするのはこの時が初めてで。
理事長とは目を合わせることも怖いと思った反面、院長は笑った目元が諒太によく似ていて、何故か親しみやすさを感じた。
「すみません。確かにちょっと…緊張してます」
「今日は紹介したい人がいると言っていたけど、彼女がそのお嬢さんだろ?きっとお前よりもこのお嬢さんの方が緊張してるはずだ。男なら、こういう場はしっかり決めなさい」
「はい」
力強い院長の声と諒太の返事に、ピンと背筋が正されていく。
ドキドキと高鳴る鼓動。
こんなにかしこまった場は生まれて初めての経験だ。
「彼女は、うちの病院で働いている望月さんと言います。最近結婚を前提に交際を申し込んでお付き合いを始めました。今日は、父さんと母さんにその報告をしたく、会食の場を設けさせていただきました」
諒太のその言葉を聞いて、私も続けて口を開いた。