俺様外科医に求婚されました



「初めまして、望月理香子と申します。今日は」

「うちで働いているって、何科の医師なの?見かけない顔ね?」


だけど話している私の言葉を遮るように、理事長の大きな声が重なった。


「いえ、えっと…私は医師ではなく」

「あら、看護師なの?」


重圧を感じる話し方と、あからさまに蔑んだ目。思わず肩がすくみ、言葉に詰まった。


「いえ…あの…」


言い出せないと思った。
医師かと聞かれ、そうではないと答えたらガッカリするように看護師なのかと聞かれたのだ。
それで看護師でもないと答えたら…どんな反応をされるのか。

そう思うと、口を開こうにも言葉が出てこない。


「彼女は、看護助手です」


だけど焦る私をかばうように、諒太が先にそう言ってくれて。


「今は脳神経科と手術センターに勤務しています。彼女とは、俺の方から好意を持つようになって交際することになりました」


と、私のことをきちんと紹介してくれた。


だけどそれを聞いた理事長はあからさまに不機嫌な顔になり、大きなため息を吐く。


「まさかとは思っていたけど、小耳に挟んでいたあのくだらない噂話は本当だったっていうの?」

「くだらない…噂話って、何ですか?」

「あなたが若い看護助手に熱を上げてるって噂よ」

「…だとしたら、その噂は本当のことです。それから、熱を上げてるだけじゃなく、今は真剣に交際をしています」


力強い諒太の声に、胸の奥がきゅっとなった。

諒太は、本当に私と真面目に付き合っていこうとしてくれてる。

改めてそう感じると、私も怯んでなどいないでしっかりしなければと思った。


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