俺様外科医に求婚されました
「ずっと、見えない鎖に繋がれてた気がするんだ」
「見えない、鎖?」
「後悔とか責任とか。いろんな想いがいつもどこかで俺を縛ってた」
耳元から伝わる諒太の声に、そっと目を閉じ頷いた。
「でもその呪縛みたいな鎖を、理香子が外してくれた」
「そんな…私は何も」
「何もしてないとは言わせないぞ?理香子が変えてくれたんだよ。まさか父さんまであんな風に言ってくれるなんて思わなかったし」
「うん…」
「母さんに関してはまだまだ時間がかかりそうだけど。理香子を紹介出来たことで、まずは一歩踏み出せた気がする」
諒太はそう言うと私をぎゅっと抱きしめて。
「ただ、敵は相当強力だ。ものすごい戦闘力を備えてるスーパーモンスターだ」
と、意味のわからない言葉を並べていく。
「敵はあらゆる武器を使って攻撃してきたり、爆弾を使って俺たちをぶっ壊そうとするかもしれない」
「えっ?ちょっと…何言ってるんですか?」
「でも、もし戦闘モードに突入したとしても心配するな。絶対に、俺が守る」
いつものふざけた口調に自然と笑みがこぼれる。
俺が守るということは、敵はおそらく理事長のことを指しているのだろう。
「本当に、何をしでかすかわからない人だから」
諒太はそう言うと私を抱きしめていた腕をそっと緩め、真っ直ぐに向き合った。