俺様外科医に求婚されました
母の病気が発覚してからというもの、友人達とは距離が出来て、会う機会も減っていった。
病気のことを話した数少ない友人は、本当に母のことを心配してくれた。
でも、同じだけ気も使われた。私の前で、自分達の親の話はしなくなった。でもその気遣いは、私には逆に心苦しかった。
だけど母の病気のことを話していなかった友人の中には、帰りが遅いと心配して電話してくる親からの電話を、平気な顔で無視していたり。
うざいとか、早く子離れしてほしいとか…そんな言葉を口にするような子もいて。
そういう姿を目にしたり耳にするたびに、どうして?と、苛立ちや違和感を感じるようになった。
わかってない。
元気で、健康で生きていてくれることがどれだけ幸せなことか。
だから自然と、私は周囲にいた友人達から自分から距離を置くようになった。
小野さんには、まだ母のことは何も話していない。
でも、いずれは話すような気がする。
彼女には何故か、そういう風に思えた。
小野さんは、家族をすごく大切にしている人だ。
話をしていると、そう感じることが多々ある。
時々出てくるお父さんやお母さんとの日常の話が、どれもこれも微笑ましいエピソードばかりで。
きっと素敵な家族なんだろうなって、羨ましくもなる。
普段はおちゃらけたり、相沢先生の話になると思い切り乙女になっちゃうけど。
親を温泉旅行に連れていってあげたり、給料日になると家族で食事に行くんだって嬉しそうに話してたり。
家族思いの小野さんは、優しくて真っ直ぐな人なんだと思う。