俺様外科医に求婚されました
「そういえば、望月さんは健康診断終わった?」
「うん、私はもう済んだよ」
「そっか。私は明日なんだー。こんな脂っこいもの食べてるけど」
目の前のチキンカツ定食に視線を落としながら、小野さんはクスッと笑う。
「あ、晩御飯はアッサリしたものにすればいいよね?お母さんに頼んでおこう」
そして携帯を手にすると、ニコニコ顔で指先を動かしていく。
「そんなに気にしなくても若いんだから大丈夫だって」
携帯を触る小野さんに向かって言うと、真面目な顔でこちらを向いた小野さんは口を開いた。
「いや、うちのお父さん、中性脂肪が高くてメタボなのメタボ!その遺伝子を受け継いでるじゃん、私」
真剣な表情で力説する小野さん。
その姿を見ていると、やっぱり改めて思う。
いつかは、話せる気がする。
小野さんになら、母のことを話せるような気がした。
そして小野さんは、もし私が話したとしても、今のまま、変わらないでいてくれる。
なんの根拠もないけれど、不思議とそう感じた。