俺様外科医に求婚されました
「お!美人二人でランチタイム?」
「あ!噂をすればだ」
食事しながら話をしていると、小野さんの視線が私の後方に向いた。
慌てて振り返ると、すぐ後ろにはトレーを持つ諒太が立っていた。
「なになに?俺の話してたの?」
私を見下ろし、諒太は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「もう手術終わったんですか?ちょっと早くないですか?」
「うん。予定よりも20分くらい早かった。って理香子、俺の手術のスケジュール把握してるとか可愛いんだけど」
「や、私は…午後から手術室の清掃なので朝、時間を確認してただけで」
「はいはい、照れない照れない」
諒太はそう言うと、私の隣に手にしていたトレーを置き、そのまま横に腰を下ろした。
「お!選んだものまで一緒だし」
諒太のその言葉に、目の前に並んだトレーに目を向けた。
わ…本当だ。きつねうどんだけじゃなくて、五目おにぎりまで一緒なんて。
「相性ぴったりだよなー、俺たち」
「ふふっ、諒太先生って本当に望月さんのこと好きですね」
向かいに座る小野さんは、呆れたように笑いながら諒太にそう言った。
すると諒太はここが病院だということを忘れているのかニヤニヤしながら口を開く。
「あ、小野さんわかる?本当、好き過ぎて毎日困ってるんだ。理香子が可愛い過ぎてさー、昨日も」
「ちょっ、ちょっと待ってください」
ペラペラ話す諒太の口元を、慌てて手で塞いだ。
放っておいたら何を言いだすかわからない。
「ここ、病院ですよ?」
「わかっ……んんんんん」
モゴモゴと話す諒太の声をバッチリと私の手が覆う。
すると観念したのか、諒太はバツが悪そうに笑って。
「理香子に怒られるから、また今度ゆっくり話すよ」
と、渋々小野さんにそう言っていた。