俺様外科医に求婚されました




カウンセリングルームというその場所に着くと、中には四人掛けのテーブルと椅子があり、理事長と伯母さんは隣同士に座って、男性は理事長の向かい側に先に座った。


「そこに座って」


突っ立っていたままの私に、理事長がそう声をかけてきた。
言われた通り、私は空いている席に座らせてもらった。

すると数秒の沈黙のあと、突然理事長が男性に向かって口を開いた。


「西野、あれを出しなさい」


男性の名は、西野さんというらしい。
理事長にそう言われると、西野さんは「はい」と返事をしてからカバンを開け、何かを取り出し、テーブルの上にたくさんの書類のようなものを置いた。


「これ、何だかわかるかしら?」


理事長にそう聞かれ、私は小さく首を横に振る。

一体何なんだろう。私はそう思いながら、テーブルの上の紙に目を向けた。

すると、理事長は。


「一カ月、あなたのことを調べさせてもらっていたの」


とても冷静に、そんなことを話し始めた。


「最近の探偵事務所はなかなか良い仕事をするわね。驚いたわ、何年も前の情報から現在に至るまで、事細かにあなたの状況が理解できたもの」


薄っすら浮かぶ、勝ち誇ったような笑み。
動揺して何も答えられない私を見つめ、理事長はさらに続ける。


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