俺様外科医に求婚されました



そしてそんな私達のやり取りを見ていた理事長と顧問弁護士の西野さんは、隣で何かひそひそと話していて。


「じゃあこうしましょう。手切れ金の代わりといってはなんだけど。西野、今から話すことを契約書に新たに付け加えてちょうだい」


理事長がそう言うと、カバンからパソコンを取り出した西野さんが「どうぞ、お話しください」と、理事長に向かって言った。

すると理事長は私に向かって話を始める。


「必要なものは全てこちらで用意するわ。お母様の入院費用や医療に関わるその他諸々、それからあなたの新しい働き口と、新しい住まいも」

「えっ?ちょっと待ってください、新しい働き口って…」

「何か問題でもあるの?諒太と別れるのに同じ病院で働き続けるなんて、そんな虫のいい話あるわけないでしょう。契約書を交わせば、本日付けでうちの病院は退職してもらいます。明日からは来なくてもいいように」


そんな…明日から来なくていいだなんて、あまりにも突然過ぎるし、勝手過ぎる。
職場にも迷惑をかけてしまうだろう。


「それから、もう一つ。相沢と結婚して、アメリカに行くこと」

「えっ?」


この人は、一体何を言ってるんだろう。
いくら理事長でも頭がおかしいんじゃないだろうか。
相沢先生と結婚?アメリカに行くって、どういうこと?


「とは言っても、表面上というか相沢とそういうことになったっていう話で終わらせるつもりだから。別に本気で結婚しろなんてことは言わないわ」


表面上、そういう話で終わらせる?


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