俺様外科医に求婚されました
「10秒、とっくに過ぎてます」
「じゃあ、あと10秒」
「延長は受け付けておりません!」
私を抱きしめ続ける諒太の腕を無理矢理ほどき、腕の中から抜け出した。
「ハハッ、この感じ。本当懐かしいわ」
「何笑ってるんですか?強制わいせつ罪で訴えますよ?」
「おいおい、強制ではないだろ」
「はい!?」
「暴れてたわりに、後半は俺を受け入れてた」
シラっとそう言いのけた諒太。
私は思わず、笑みを浮かべている諒太の腹をグーでパンチした。
「いってぇ…暴行罪で訴えてやる」
「どうぞご勝手に」
嫌味たっぷりにそう言うと、私は急いで車から降りた。
そして後ろを振り返ることなくアパートの階段に向かうと、二階に向かってズカズカとそこを登っていった。