俺様外科医に求婚されました
「青葉総合病院で働いてるってことは諒太先生が教えてくれたんだ」
「そう…」
駅前の居酒屋に入った私達は、混み合った店内のカウンターで肩を並べていた。
「まぁ、とりあえず飲もう!私、明日休みだし」
「えっ…私は明日も朝から仕事だけど」
「気にしない気にしなーい」
小野さんはそう言うと、生ビールをゴクゴク飲み干す。
その横顔は、五年前よりも色っぽく、大人になったような気がした。
「結婚する人、どんな人なの?」
「放射線技師。歳は私より二つ下なんだ」
「え!年下なの?放射線技師ってことは、大和国際病院で働いてる人?」
「うん、職場恋愛」
そう言って笑みを浮かべた小野さんは、なんだか本当に幸せそうに見えた。
「って…の前に。望月さんからちゃんと話して。理事長の話だけじゃわからないこともあったし。私、誰にも言わないから。もちろん、諒太先生にも。約束する」
小野さんは隣から私をジッと見つめ、私の言葉を待つように黙り込んだ。
正直、話していいのかはわからない。
でも、ある程度知られているのなら…せめて相沢先生のことだけでも疑惑は晴らしたくて。
「五年前、理事長と契約を結んだのーーー」
私は、あの頃のことを小野さんに話していった。