俺様外科医に求婚されました



命は、いつかは終わりが来る。

避けたくても、逃げたくても、人は皆、いつかは最期を迎える。


それは、わかっているつもりだった。


死なない人間なんていない。


病院で働くようになってからはそれをもっと、ちゃんとわかっていた…つもりだった。



「……っ…」


でも、底知れぬ悲しみは、私を冷静でいさせてはくれなかった。


勤務を終えた後、優梨奈ちゃんのいた病室にいった。

彼女がいなくなった病室は、もう次の患者さんのために綺麗に清掃され、飾ってあったアイドルの写真なども何もなかったように片付けられていた。


まだ、14歳なのに。


「コンサート…行きたかったよね。もっといっぱい…話したかったよね…っ…」


誰もいない病室に、私の声だけが悲しく響いていた。


だけどその時。

ドアの開く音がして、私は慌てて溢れていた涙を拭った。



「望月 理香子」


いきなり名前を呼ばれたので、うつむきながら振り向いた。


「優梨奈ちゃんから手紙を預かってる。帰る支度をして一階まで降りてこい」


そう言ったのは、あの日更衣室の廊下ですれ違った、白衣姿のあの先生だった。


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