俺様外科医に求婚されました
咄嗟の出来事に訳がわからなかったけれど、その先生はそれだけ言うとすぐに病室から出て行き、残された私は数十秒、その場で立ち尽くした。
浮かんでいた涙を、もう一度指先で拭った。
手紙…。手紙を…預かってると。
あの先生は言っていた。
ハッとなった私は1021号室の病室を飛び出すと、急いで更衣室へ向かい真っ白な制服から私服に着替えエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターが一階につき、ドアが開く。
視線の先に、すぐにあの先生らしき人の姿を見つけた。
白衣ではなく黒いジャケットを羽織っているせいか、雰囲気が変わって本人なのかがわからなかった。
恐る恐る距離を縮めていき、私は口を開く。
「あ!あの!」
言いながら、さらにその距離を詰めていくと、その人は私に向かってニコリと微笑んだ。