俺様外科医に求婚されました
「ちょっとぉー、望月さん。諒太先生と共同作業するなんて百億万年早いわよ?」
どうしていいかわからず廊下に突っ立っていると、隣からそう言われそっと肩を押された。
隣に目を向けると、ニヤリと笑った小坂主任が私を見てクスッと笑った。
小坂主任は、正看護師で、小児ホスピス病棟では皆のアネゴ的な存在の人だった。
怒るとものすごく怖いけれど、基本的にはおおらかで、優しくて面白い。
「小坂主任…大島部長、絶対怒ってますよね?」
「どうかなー?諒太先生がフォローしてくれてたし、大丈夫じゃない?」
「諒太…先生?あの人、諒太先生っていうんですか」
「えっ?知らない?この大和国際病院では一番か二番くらいに有名な人だよ?」
有名な…人?
「あ!それってもしかしてものすっっごく女癖が悪くて一番有名とか、ですか?」
「あははっ、そりゃ男よりは女が好きだろうけど。あのルックスに医者ってだけでモテ要素を兼ね備えてるのに、女性関係の変な噂とかは全く聞かないわよ?ファンは多いしすっごくモテてはいるけど」
「え、じゃあ、何で有名…なんですか?」
私がそう聞くと、小坂主任は何故か声のボリュームを落として口を開いた。
「まず、まだ27歳なのに天才脳外科医。それから、この大和国際病院の跡取り息子だからよ」
「えぇっ⁉︎あっ、あっ…跡取り」
「声がでかい」
「す、すみません」
いや、だって…そりゃ声も大きくなりますよ。
あの人脳外科医なの⁉︎しかも天才⁉︎
っていうか、この病院の跡取り息子って何⁉︎