俺様外科医に求婚されました
「ミッション完了」
呆然としていた私は、その声を聞いてハッと顔を上げた。
目の前には、あの先生が。
大和 諒太が…立っていた。
「あっ、あっ…ありがとう、ございました」
私はそう言いながら慌てて頭を下げた。
「なんだ改まって」
「いえっ、当然です。先生に手を貸していただいたので」
深々と頭を下げたまま私は先生に向かってそう言った。
「ははっ、あ、もしかして小坂主任、この子に余計なこと言いました?」
「えっ、や…諒太先生のことご存知なかったようなので、ご説明をさせていただきました」
「そうですか…だから、ですね」
二人が交わす会話を黙って聞いていたその時、いきなり顎を掴まれ、顔を上げられた。
その瞬間、私たちの視線は繋がったけれど、思わずサッと目を逸らしてしまった。
「俺が誰だかわかって気まずいか」
「えっ…いや…その…」
「普通にしろ、今まで通り。キミとのやり取りが最近の俺の楽しみだ」
「…やっ、普通にしろと言われましても」
「まぁ、そのうちまた来る。それまでにその態度を改めておけ」
大和 諒太はそう言うと、颯爽と歩いていってしまった。