俺様外科医に求婚されました
「じゃあ、とりあえず」
運ばれてきた生ビールがテーブルに置かれると、大和諒太がそう言って相沢先生もジョッキを手にした。
小野さんも手を伸ばしたので、私もそっとジョッキを手に取る。
「乾杯」
そして私達四人はその言葉を合図にジョッキ同士をコンっと当てあった。
「キライなものはある?まだ、食べるものはそれしか頼んでないんだ」
テーブルの上のナムルの盛り合わせに目配せをしながら、相沢先生がメニューを開く。
「私はレバー以外なら何でも大丈夫です!相沢先生は、苦手なものとかあるんですか?」
小野さんはそう言って、相沢先生が持つメニューを横から覗き込んでいた。
「そうだなぁ。苦手なものは特にない、かな。望月さんは?食べられないものとかある?」
その言葉に前を向くと、相沢先生とふと目が合った。
「あ、私…は」
「好き嫌い全くないんだよな」
答えようとした私の声に、隣から声が重なる。
「本当何でも食べるから。あ、あの花咲きカルビ食うだろ?」
「えっ……あぁ…」
「あのって、望月さんここに来たことがあったの⁉︎」
「うん…まぁ、前に…一度だけ」
「そ。一ヶ月くらい前に、二人で来たんだ」
「そういや騒いでたな、初デートが成功したとかって」
デ、デート⁉︎
私は驚いて大和諒太に顔を向けた。
すると、私の視線に気付いた彼は目が合うと同時に口を開いた。
「あとカイノミ、ミスジ。ホルモンはマルチョウ。それから、キムチは絶対にカクテキだっけ」
ドヤ顔でスラスラ言う横顔。
その顔を間近で見ていると、私は何故かプッと吹き出すように笑ってしまった。
「よく覚えてますね」
「記憶力バツグンだからな」
以前来た時に、私が美味しいと言ったもの。
それからキムチは絶対にカクテキがいいということまで覚えていてくれたらしい。