俺様外科医に求婚されました
「何でそんな朝早くに」
「だって、輪島からコートを返されてたら、会いに来ても理香子にもう会う理由はないとか言われそうだし」
「だからって6時って…」
「や、理香子が早番か日勤かもわかんねーし?何時に出てくるかわかんないじゃん」
そりゃそうですけど。
何時に出てくるかもわからない相手を朝っぱらから待つ?
「もし私が今日休みで、一日中ずっと家に引きこもってたらどうしてたんですか?」
「とりあえず昼まで待ってみて、それでも出て来なかったら、203のインターホンを押してたかな」
203って、何で私の部屋番号を…
「さっきそこにあるポストを見て、部屋番号は確認しといた」
「…ストーカーですね」
「ははっ、ストーカー呼ばわりなんてひどいな。でも、ポストの表札の名前が望月だったから…あぁ、一人暮らしなんだなって。なんか、ホッとした自分がいた」
諒太はそう言うと、こちらに向かって距離を詰めてくる。
「表札が相沢だったら、黙って帰ってたところだった」
そして私の目の前に立った諒太は、寂しげな顔で笑った。