俺様外科医に求婚されました



さらっとそうまとめてしまえば、随分あっさりしたように聞こえるけれど。

ここに至るまでには、本当にいろいろなことがあった。


特に、諒太と離れてからの一年は様々な出来事に頭を抱え、大変な時を過ごした。


だけど、人間どん底まで落ちて沈み切ると…開き直りに似たものが生まれ、とことん落ちたなら、もう這い上がれる。

そんな妙なプラス思考に、何故か頭が切り替わったのだ。


そして落ち着きを取り戻した私は、何かに打ち込みたい。他のことを考える暇もないくらい、それだけに夢中になりたい。

そう思った結果、社会人になってから目指すのは遅いかとも思ったけれど。
どうせ同じところで働くのなら、出来ることを増やしたい。そう思い、この青葉総合病院で働きながら准看護師を目指すことを決めた。


週に5日、昼から夕方までは学校。
空いた時間は病院で働き、夜勤もした。

少しでも時間が出来れば勉強に励んだし、必死に…ただがむしゃらに、資格を取得することだけを考えて毎日を過ごした。


暇なんて、ゆっくりする時間なんていらなかった。

忘れたい記憶が蘇ってきてしまいそうで。
とにかく毎日寝る時間以外はすることを詰め込んで、仕事と勉強や実習以外のことは考えないようにした。


その結果、二年間で准看護学校を卒業した私は、目標の准看護師の資格を得ることが出来た。

そして看護助手から、准看護師に。
この病院でステップアップすることが出来たのだ。

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