手紙
妹の死から3年がたった今、
私は高校1年生になった。
あれからは必死に妹を演じるようになった。
演じてるというよりも、
『妹とし生きている』の方が
正しいだろう。
喋り方もしぐさも全て妹に似せた。
名前も妹の名前で呼ばれてきた。
学校でも家でも。
最初はなかなか慣れることができなかった。
違う名前を呼ばれ続けたらと思うと怖くなったから。
『このままじゃ、自分の本当の名前すら
忘れちゃう。』
3年も妹として生きていたら、本当の自分が
わからなくなった。いつのまにか、
本当の自分が消えてしまった。
学校に行っても、家に居てもどこか居心地が
悪かった。
どんなに成績優秀で、スポーツができても
褒められてるのも、友達が仲良くしたいのも私じゃない。
『妹なんだ』

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