たとえ嫌だと言われても、俺はお前を離さない。
『そうか。それは辛かったな』

『でも先生、あの子達に注意とかしないで。仕返しされるの怖いから……』

私の言葉に先生は『うーん』と困ったような声を出していたけれど、『分かった』と言ってくれた。


私のお願い通り、先生はクラスメイト達に注意はしなかった。
だけど毎日、私のことを気にして声を掛けてくれた。
そして、私と気の合いそうな生徒達を見つけて、さり気なく間に入り、仲を取り持ってくれた。
そのお陰で、私は高校生活で初めて友達と呼べる存在に出会えた。そこからは他のクラスメイト達に無視されることも徐々になくなり、楽しい高校生活を送っていた。

先生のお陰だ。

その頃から、先生の無邪気で明るい笑顔を見る度に、先生の優しさに触れる度に、胸がドキドキした。

恋、してるんだって気付いた。


だけど、自分の気持ちを伝えることが苦手な私がーーそうでなくても副担任の先生に告白するなんてハードルが高いことは出来ず、何もないまま二年が経ち、高校を卒業した。


でも、卒業して先生に会えなくなってから後悔した。もう二度と会えないなら、せめて告白すれば良かったって。


その後、大学生になり、社会人になった。友達に男性を紹介してもらったことはあったし、合コンに行ったこともあった。だけど、どんな男性と知り合っても、いつも白川先生の存在が頭をチラついた。


部長と知り合って、部長のことを好きになりたいと思った。今だってそう思ってる。


だけど、こんな風に突然白川先生と再会するなんて夢にも思っていなかったから、混乱しているのも事実で。

ましてや、部長と先生が友達だったなんて……。
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