たとえ嫌だと言われても、俺はお前を離さない。
その後は、他の社員さん方とも話したりして、部長との会話はそれ以上はなかった。
二十一時。一次会はお開きにするということで、皆で店の外に出た。
二次会でカラオケ行く人ー、と先輩の男性社員が元気良く皆を誘うけれど、女性社員の参加率が悪いことを嘆き始める。
私も不参加だ。今日は私の歓迎会なのだから顔を出すべきなのだろうけど……どうしても〝行けそうにない〟。
女の子いないとつまんないのにどうして来ないんだよー、と言われると、参加しない女性社員達は困ってしまい、言葉に詰まる。
すると部長が、
「おい。セクハラとアルハラはその辺にしておけ。女性社員怒らせたら後が怖いぞ」
と、女性社員を助ける言葉をはっきりと、それでいて厳しすぎない言い方でその場を丸くおさめてくれた。
隣で先輩達が小声で
「部長、今庇ってくれたね」
「クールだけど優しいよねー」
と話すのが聞こえた。
私も先輩達と同じことを私も思った。
そんな部長も、二次会へは行かないようだ。
カラオケへ向かう人達の背中を見送り、その場に残った私達は皆で駅まで向かおうとする……けど。
「あの、すみません。私、ここへ迎えが来るので駅へは向かいません」
店の前でそう言うと、他の社員さん達は「そうなの? じゃあ月曜日に会社でねー」と言って帰っていった。
だけど。
「部長……? 帰らないんですか?」
何故か部長だけは皆と帰らず、私と一緒に店の前に留まる。