たとえ嫌だと言われても、俺はお前を離さない。
カァッと全身が熱くなる。きっと顔は耳まで真っ赤になっているだろう。

心臓がバクバク脈打っている。

でも……嬉しい。



すると、先生は。



「っえー! そうなのか! 頑張れよ、亮!」



……と、一層明るい笑顔で言ってきた。


……あれ?


これには私だけでなく、部長も呆気にとられたような顔をしている。



「大丈夫だって! 俺と桃城は元教師と元教え子の関係! そういうんじゃないから!」


え、ええ?


「で、でもデートって言ったじゃないですか」

「あれ? 男と女が二人で出掛けることは一般的にデートって言うんじゃなかったっけ? あ、こういう場合は言わないのか」

「えっ。じゃ、じゃあ何で私と二人で出掛けようと……?」

「同窓会の打ち合わせでもしようかと。メッセージのやり取りだけじゃなかなか決まらなそうだし」

「で、でも! あ、あんなに顔を近付けてきて……」

「ごめんごめん。俺、人と話す時に顔近付ける癖があるんだよね。高校では気を付けてたけど」

その言葉に、部長が隣で「ああ……」と小さく頷く。部長が納得している様子を見るに、どうやら先生には確かにその癖があるようだ。


……ということは、全部勘違いだった⁉︎ 恥ずかしい‼︎
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