たとえ嫌だと言われても、俺はお前を離さない。
近所のファミレスで食事をしながら、色々話した。
同窓会を企画したらどのくらいの人が集まるかなとか、上手く全員に連絡は行き渡りそうかなとか、お店はどこにしようか、とか。
それ以外にも、お互いの仕事はどうだとか、高校時代の学校行事の思い出とか、そういうたわいもないことも話したけれど、部長が心配しそうな恋愛じみた話は一切なかった。当然といえば当然だけど。
「そろそろ出ようか」
先生が腕時計を見ながらそう言ったのは二十時半を少し回ったくらいだった。
同窓会のこともあらかた話したし、お腹も膨れたし、ちょうどいい時間だろう。
……と思ったんだけど、車が走り出してしばらくした頃、突然、
「あのさ、桃城。ちょっと寄りたい所があるんだけど、いいかな?」
と言われる。
寄りたい所? これから?
少しは不思議に思ったけれど、あまり深く考えずに「いいですよ」と答えた。
車は、段々と見慣れない道路を走り出す。
本当に、どこへ行くんだろう? ちょっとコンビニへ、とかではなさそうだ。