自由帳【番外編やおまけたち】
目的地の高原までは、車で三十分はかかるという。いつしか私たちは、お互いの近況を報告しあっていた。
「最近どう? 仕事は」
「それが今年度から採用担当も兼任になったんですよ。今は先輩の補佐がメインですが、来年からは本格的に任されるかも……」
驚くべきことに私は、この春から採用の仕事を始めることになったのだ。まだあどけない就職活動中の学生と関わる機会が多くなると先日説明を受けたばかり。これからは会社の顔としても頑張らなければならないと気付き、結構プレッシャーを感じている。
「へえ。浅見はすぐ人と仲良くなれそうだし、面白いんじゃないか」
「小林さんがそれを言います? 初対面の時は殺されるかと思いましたよ!」
「殺されるって……あの時は非常事態だったから、大目に見てくれると助かるんだけど」
非常事態と聞いて、思わず出会って数分のうちに小林さんに抱き上げられたことまで思い出してしまい、また赤面する羽目になる。
ーー今あんなことになったら、私は発狂してしまうかもしれない。