自由帳【番外編やおまけたち】
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新プリンターが納品されてしばらく経った頃、定期点検のために佐々岡さんがやってきた。古いプリンターの修理の時はいつもそうしていたようにアイスコーヒーを作ろうと給湯室の方へ歩き出すと、いい、と手で制される。


『すぐ終わるから』


何気ないひと言に、一瞬息が詰まった。
私のことを気遣ってくれたに違いない言動だというのに、こんなにも傷付くなんて。
そんな呆然と立ち尽くしたままの私を全く気にすることもなく、佐々岡さんはカチャカチャとプリンターのカバーを開けていく。


『何だよボーっとして。風邪?』

『い、いえ別にっ……』


ちらりと振り返り、怪訝な表情を向けられた。後ろにいつまでもいられると気が散るということなのだろう。私は慌てて距離を取った。


『部品の初期不良もなさそうだし、動作は特に問題ないな。ーー何か困ってることは?』


勿論この口調、近くに私しかいないときの砕けたものである。先ほどまで桧山所長が近くにいたものだから爽やかな笑顔を振りまいていたが、いなくなった途端真顔だし。
すっかり慣れてしまっていた私は、それよりも会えた嬉しさから遠慮なく話してしまうけれど。

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