手をつないでも、戻れない……
 部屋に戻ると、二枚の布団がくっついて敷かれていた。

 思わず、顔が熱くなる。

 それに気付いてか、彼が、両手で私の頬を、ぎゅっと包んだ。


「な、なによ……」


「浴衣姿、めっちゃ、色っぽいんだよ。今日は、我慢したんだから、しっかりご褒美もらうよ」

 彼は、そういうと、目を細めて、唇に軽くキスをした。

 何度も繰り返されたキスは、だんだんと深くなって行き、浴衣の帯に彼の手が伸びた。


 絡みつく口づけに、体の力が抜け、布団の上に倒された時には、浴衣は肌蹴て下着がむき出しになり、恥かしい姿になっていた。


 だが、彼は体を上げ、恥かしい姿を見つめ、ニヤリとした。


 私は、嫌な予感に、ジロっと彼を睨んだのだが……


 彼の手が、胸の膨らみを押さえ、直接肌に触れだすと、自然と漏れてしまう声を押さえる事が出来なくなった。


 そして、私は彼に、たっぷりご褒美をするはめになった……



 だけど、彼の腕の中で眠りにつく事は出来なかった……
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