手をつないでも、戻れない……
喧嘩してたった数日の事なのに……
もう、彼には新しい彼女が出来てしまった。
いや、もしかしたら、二股かけられていたのだろうか?
裏切られた……
そんな思いだけが頭の中をグルグルまわっていた。
次の日、仕事へ向かう彼とすれ違ったが、私は目を逸らしそのまま自分の職場へと向かった。
その夜、職場の飲み会で、私は自分で立てない程に飲み潰れてしまった。
心配した先輩が家まで送ってくれたらしいが、殆ど覚えていなかった……
しばらくして、結婚が決まった兄の浩平(こうへい)から、彼も彼女がいて結婚するかもという噂がある事を知った。
まだ、気持ちの整理がつかない私は、近所に住む彼の幸せな姿を見る事があまりに辛くて、仕事を理由に家を出る事を決めた。
きちんと彼にさよならを言わなければと思ったが、顔を見たら泣いて大騒ぎしてしまいそうで、私は彼に何も言えずに家を出た。
それから、彼と会う事はなかった。
今思えば、彼だって何か言って来てくれても良かったのにと思うが、あのささいな喧嘩が彼には別れを決めさせたのだ。
その後、しばらくして兄も転勤で家を出てしまい、彼の噂も聞かなくなった。
数年前に、実家に戻ってきた兄から、甥っ子と彼の娘が同じ学年だと知った。
「おーい。美緒、何サボってるんだよ!」
遠くから兄の呼ぶ声に、はっと我に返った。
「はーい。今行く!」
明るく返事をしながら、苦い思いを振り切るように走った。
もう、彼には新しい彼女が出来てしまった。
いや、もしかしたら、二股かけられていたのだろうか?
裏切られた……
そんな思いだけが頭の中をグルグルまわっていた。
次の日、仕事へ向かう彼とすれ違ったが、私は目を逸らしそのまま自分の職場へと向かった。
その夜、職場の飲み会で、私は自分で立てない程に飲み潰れてしまった。
心配した先輩が家まで送ってくれたらしいが、殆ど覚えていなかった……
しばらくして、結婚が決まった兄の浩平(こうへい)から、彼も彼女がいて結婚するかもという噂がある事を知った。
まだ、気持ちの整理がつかない私は、近所に住む彼の幸せな姿を見る事があまりに辛くて、仕事を理由に家を出る事を決めた。
きちんと彼にさよならを言わなければと思ったが、顔を見たら泣いて大騒ぎしてしまいそうで、私は彼に何も言えずに家を出た。
それから、彼と会う事はなかった。
今思えば、彼だって何か言って来てくれても良かったのにと思うが、あのささいな喧嘩が彼には別れを決めさせたのだ。
その後、しばらくして兄も転勤で家を出てしまい、彼の噂も聞かなくなった。
数年前に、実家に戻ってきた兄から、甥っ子と彼の娘が同じ学年だと知った。
「おーい。美緒、何サボってるんだよ!」
遠くから兄の呼ぶ声に、はっと我に返った。
「はーい。今行く!」
明るく返事をしながら、苦い思いを振り切るように走った。