手をつないでも、戻れない……
伊藤さんは、雅哉の顔を見ると、泣き出した。
なんなだ、このおばさんと突っ込みたくなる。
「明日の横井さんの予定確認に来たんですけどね……」
雅哉は、チラリと私を見ると、にこりとして肯いた。
「私には無理です。もっと、楽な人に担当変えてください」
伊藤さんは、泣きながら雅哉に訴える。
「楽な人ね……」
雅哉の顔が、一瞬険しくなった。
「仕方無いですね…… 担当……」
私が言い掛けると、雅哉が手でストップと合図した。
「伊藤さんも、横井さんと同じですね。何が起こるか分からないから不安になってるんですよね?」
「はあ? 私が横井さんと同じだって言うの? バカにして!」
「みんな、同じですよ。不安だから、落ち着かなくなってしまう。不安の訴え方が違うだけです。水嶋も僕も、横井さんと同じなんですよ。ですがもう伊藤さん結構です。福祉課の方からのケースは、伊藤さんには外れて頂くよう、こちらからは施設に依頼しますので」
「えっ? ちょっと待って下さい。私は横井さんの担当だけ外して下さいっていったんです」
「そんな、人を選ぶのは仕事を選んでる事になります。我々としては、配慮の限界でもありますので……」
「そ、そんな…… わかりました。ちゃんとやります」
伊藤さんは、さっきまでの勢いを無くしていた。
伊藤さんも、福祉課から断られたら、仕事を失う事になる。
「そうですか。一通りの打ち合わせが済んだら、横井さんも一緒に、明日の予定を伝えていきましょう。そうすれば、横井さんも安心できるかもしれません。でも、伊藤さん、横井さんに拒否されたら、諦めて下さいね」
雅哉のチラリと伊藤さんを見た顏は、冷やかだった。
「はい」
伊藤さんの顔色は青くひきつっていた。
なんなだ、このおばさんと突っ込みたくなる。
「明日の横井さんの予定確認に来たんですけどね……」
雅哉は、チラリと私を見ると、にこりとして肯いた。
「私には無理です。もっと、楽な人に担当変えてください」
伊藤さんは、泣きながら雅哉に訴える。
「楽な人ね……」
雅哉の顔が、一瞬険しくなった。
「仕方無いですね…… 担当……」
私が言い掛けると、雅哉が手でストップと合図した。
「伊藤さんも、横井さんと同じですね。何が起こるか分からないから不安になってるんですよね?」
「はあ? 私が横井さんと同じだって言うの? バカにして!」
「みんな、同じですよ。不安だから、落ち着かなくなってしまう。不安の訴え方が違うだけです。水嶋も僕も、横井さんと同じなんですよ。ですがもう伊藤さん結構です。福祉課の方からのケースは、伊藤さんには外れて頂くよう、こちらからは施設に依頼しますので」
「えっ? ちょっと待って下さい。私は横井さんの担当だけ外して下さいっていったんです」
「そんな、人を選ぶのは仕事を選んでる事になります。我々としては、配慮の限界でもありますので……」
「そ、そんな…… わかりました。ちゃんとやります」
伊藤さんは、さっきまでの勢いを無くしていた。
伊藤さんも、福祉課から断られたら、仕事を失う事になる。
「そうですか。一通りの打ち合わせが済んだら、横井さんも一緒に、明日の予定を伝えていきましょう。そうすれば、横井さんも安心できるかもしれません。でも、伊藤さん、横井さんに拒否されたら、諦めて下さいね」
雅哉のチラリと伊藤さんを見た顏は、冷やかだった。
「はい」
伊藤さんの顔色は青くひきつっていた。