手をつないでも、戻れない……
「そんな事をしていたら、雅哉さんのほうが、いい出会いを逃してしまいますよ」

 私の精一杯の、雅哉へ幸せを願う言葉だ。


「本当に、頑固だよな……」

 雅哉は、ふう―とため息をついた。


「自分では、良く分からないけど……」


「こんないい男、なかなか居ないよ。本当にいいの?」

 雅哉は、探るような目で私を見た。


「普通、自分でいいますか?」


 雅哉は、笑い出した。


「本当に僕に未練ない?」

 雅哉は、少し真剣な目をして、もう一度確認するように、私の目をじっと見た。



 少し考え……


「焼き鳥かな……」


 私は、ボソッと言った。



「負けたわ」

 と言って、笑い出した雅哉に連れて、私も笑った。


 笑い終わると、少し沈黙が流れた。



「実は、僕も話があるんだ」

 雅哉は、窓の外へ目を向けた。



「えっ?」

 予想外の言葉に、戸惑った声になってしまった。
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