手をつないでも、戻れない……
彼の指示で、修理担当らしき作業着姿の人が近付き、私は車の鍵を渡した。
新車がよく見えるテーブルへと案内される。
若い綺麗な受付の女性が、飲み物を聞きに来た。
「ホットコーヒーを……」
遠慮がちに言った。
「結構な距離を乗っているよな? 二か月後に車検か……」
いつの間にか車のダッシュボードから取り出した車検証を見て言った。
「まあ…… 仕事でも使うから……」
「修理するより、新しい車買った方がいいかもな?」
「ちょっと…… そんなつもりで来てないから」
慌てて、言い返した。
「勿論分かってるよ。色々な方法があるって提案しているだけだから……」
と、彼はニヤリと笑った。
まったく、売上の為なら、昔の女にも声かけるって事か?
ちょっとムッとなって彼を睨んだ。
そこへ、二人の間を割るようにコーヒーが運ばれてきた。
「お待たせしました。どうぞ」
長い髪の先を綺麗にカールした、受付の子が営業用スマイルでコーヒーをテーブルに置いた。
若くて綺麗な子だ。
ふと自分の姿に、若くて初々しさを失った私は、彼の目にどう映っているのだろうか?
なんとなく、若い子と自分を比べてしまい、気落ちする。
「ありがとう……」
軽く会釈してお礼を言った。
私の気持ちを察したかのように、彼が言葉を発した。
「昔と、全然変わらないな……」
「えっ…… そんな事ある訳ないじゃない。何年経っていると思っているのよ。もう、三十五よ。自分でも年を感じるわよ」
私はため息混じりに言った。
「いや…… 変わってないよ。思いっきり笑うところも、思ってる事がすぐ顔に出るところも、あの頃のままだよ……」
彼はそう言って、コーヒーを口に運び、車の行き交う窓の外へ目を向けた。
「樹さんだって、変わってないわよ」
「あははっ。もう、おじさんだよ」
彼は、目を細めて笑って言った。
「笑った顔、変わらないわよ」
そう言って、目を合わせて笑った。
本当に変わってないと思う。
コーヒーを飲む仕草も、笑った顔も、クールな話かたも何も変わっていない。
確かに、少し皺が深くなった気もするが、そこがまた、男らしさを上げている。
だが、すべて過去の話……
だから、今こうして穏やかに話ができているのだろう……
新車がよく見えるテーブルへと案内される。
若い綺麗な受付の女性が、飲み物を聞きに来た。
「ホットコーヒーを……」
遠慮がちに言った。
「結構な距離を乗っているよな? 二か月後に車検か……」
いつの間にか車のダッシュボードから取り出した車検証を見て言った。
「まあ…… 仕事でも使うから……」
「修理するより、新しい車買った方がいいかもな?」
「ちょっと…… そんなつもりで来てないから」
慌てて、言い返した。
「勿論分かってるよ。色々な方法があるって提案しているだけだから……」
と、彼はニヤリと笑った。
まったく、売上の為なら、昔の女にも声かけるって事か?
ちょっとムッとなって彼を睨んだ。
そこへ、二人の間を割るようにコーヒーが運ばれてきた。
「お待たせしました。どうぞ」
長い髪の先を綺麗にカールした、受付の子が営業用スマイルでコーヒーをテーブルに置いた。
若くて綺麗な子だ。
ふと自分の姿に、若くて初々しさを失った私は、彼の目にどう映っているのだろうか?
なんとなく、若い子と自分を比べてしまい、気落ちする。
「ありがとう……」
軽く会釈してお礼を言った。
私の気持ちを察したかのように、彼が言葉を発した。
「昔と、全然変わらないな……」
「えっ…… そんな事ある訳ないじゃない。何年経っていると思っているのよ。もう、三十五よ。自分でも年を感じるわよ」
私はため息混じりに言った。
「いや…… 変わってないよ。思いっきり笑うところも、思ってる事がすぐ顔に出るところも、あの頃のままだよ……」
彼はそう言って、コーヒーを口に運び、車の行き交う窓の外へ目を向けた。
「樹さんだって、変わってないわよ」
「あははっ。もう、おじさんだよ」
彼は、目を細めて笑って言った。
「笑った顔、変わらないわよ」
そう言って、目を合わせて笑った。
本当に変わってないと思う。
コーヒーを飲む仕草も、笑った顔も、クールな話かたも何も変わっていない。
確かに、少し皺が深くなった気もするが、そこがまた、男らしさを上げている。
だが、すべて過去の話……
だから、今こうして穏やかに話ができているのだろう……